専門医とは?医学博士とは?

医学博士

専門医と医学博士

コロナウイルスが世を騒がせる中、多くの「専門医」や「医学博士」を名乗る人物がテレビに出演するのを見かけるかと思います。

その違いをご存知でしょうか?

ざっくりいうと、どちらも医師が目指す2大資格のようなものですが、その2つは全く異なります

今回は専門医と医学博士の違いを述べたいと思います。

この記事を読むことで、医師を目指す人には専門医や医学博士になるメリットとデメリットがわかります

また、医師でない方にはテレビで出てくる「専門医」や「医学博士」あるいは「専門家」がどういう人物なのかがわかります

病院を受診するときの参考にもなるでしょう。

専門医は一定の質が保証された医師

まずは専門医について。

専門医は「日本専門医機構」に認められた医師です。

…どういうこと?

日本専門医機構は専門医制度をまとめている組織で、国民に信頼される一定の専門知識と技能を持った医師を専門医として認めようというコンセプトの制度です。

実のところ、「専門医」自体は日本専門医機構設立前からありました。

それまでは「学会」という、医師の勉強会の集まりみたいな組織が独自に専門医をみとめていました。

たとえば、呼吸器学会が呼吸器専門医を認定するといったようにです。

しかし、「学会」は一つだけでなく多くの「〇〇学会」が乱立し、それぞれが〇〇専門医を認めるというカオスな状況にありました。

そこで、国からの要望をうけて平成26年に日本専門医機構が設立されて「専門医」の認定基準が整理されました。

現在は専門医の認定基準や運用法については専門医機構が管理し、学会が実際に運用するという形に移行しています。

どの診療科領域でも、医師免許取得から専門医資格の取得まで最速で6年程度かかるので、専門医は一番若くても30歳前後です(医学部が6年制で大学卒業時で24歳のため)。

さらに一度専門医資格をとっても、5年ごとに診療実績や学会での業績を審査して更新する必要があります。

専門医機構が設立されてからまだ10年も経過していませんが、今後も専門医制度は改良されていくでしょう。

病院を受診した時には、担当の先生が専門医かどうかをチェックしてみましょう。チェックする方法としては、病院の公式ホームページのスタッフ紹介の欄を確認すると、顔写真とともに記載してあることが多いですよ。

大きな病院では若い先生も多いため、担当の先生がまだ専門医を取得していない場合もありますが、たいていは裏で専門医を取得済みの上級医がバックアップしています。

医学博士は医師とは関係ない?!

一方、医学博士はどうでしょうか?

実は、医学博士は医師とは関係ないんです!

詳しく解説します。

医師は医師国家資格(医師免許)を有しており、患者に対する診療行為を認められた職業です。

他方、医学博士とは大学院などでの医学分野の研究を評価されて授与される学位です。

つまり、研究をしているというだけで、患者相手に診療行為をしているわけではないので、医師免許がなくても医学博士にはなれるのです。

さらに、医学博士というだけでは、どういう研究をしたのかわかりません。

また、専門医とは異なり、医学博士は一度学位を取得してしまえば更新することもありません。

つまり、医学博士といっても、どういう研究をしていたのかわからない上に、今現在も研究を続けているとは限らないのです。

どうでしょう?

医学博士は何か偉い人というイメージを持っていたあなた。

医学博士に対する見方は変わりましたか?

医学博士には凄い研究者が沢山いる

ここまで聞くと、医学博士には魅力が無いように思えてくる人もいるかもしれません。

しかし、医学研究の領域で実績を挙げている医師は通常医学博士の学位を持っているというのも事実です。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥先生や本庶佑先生は医学博士で、かつ医師免許を持っておられます。

2人とも現在は医師としての診療業務はしておられないと思いますが…。

研究の分野で活躍するなら博士号は必須でしょう。

博士号が研究の分野でどのように役に立つのか話し始めると長くなるので、それについては別の記事にしたいと思います。

また、研究の分野でなくても、大学病院はもちろん、一般病院の主要な役職に就くには博士号があった方が有利に働くと言われています。

勤務医としてより待遇の良いポジションに就きたいなら博士号を持っていた方がよいかもしれません。

自称「専門家」に気をつけろ!

最後に「専門家」について。

専門医や医学博士とは異なり、「専門家」については特に何か決まった条件があるわけではありません。

「〇〇先生は△△がご専門で」「××の専門家がこう言っている」と聞いた場合は気をつけなければなりません。

  1. 専門医資格を持っている
  2. その分野で実績があり、周囲から認められている

以上の場合であれば良いですが、

  1. 自称「専門家」
  2. 周囲が誤解し「専門家」だと思い込んでいる

という場合も往々にしてあります。

本物の専門家と、なんちゃって専門家の見分け方は一般の方には難しいかもしれません。

見分ける方法はありますが、それについても少し長くなるので、別の記事にまとめたいと思います。

まとめ

いかがでしょうか?専門医と医学博士について、イメージがつかめたでしょうか?

医師が専門医、あるいは医学博士を目指すメリット・デメリットは以下の通りです。

メリットデメリット
専門医仕事を得やすい
医療従事者や患者の信用を得られる
5年おきに資格更新があるため、継続して診療実績を積まなければならない
医学博士研究に有利
大学病院や一般病院で上位のポジションを得やすい
大学院で数年間研究に従事しなければ取得できない
医師としての技能や現在の研究成果を保証するものではない

テレビの中にいる人は全員なんだかすごそうな「専門家」に見えてしまいます。

特に「医学博士」や「医療・医学の専門家」が出てきた場合、その人は何の「専門家」なのか一度立ち止まって考えてみましょう。

もしかすると、メディアが作り出したなんちゃって博士、なんちゃって専門家かもしれません。

以上、専門医と医学博士のお話でした!

ちなみに、ますおさん は専門医です。医学博士も取得したいな。

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